災害リハビリテーションとは

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リハビリテーションと聞くと、骨折や手術後の運動療法を思い出す方が多いかもしれません。そして災害時に運動?と思うかもしれません。リハビリテーションは運動だけではなく、もっと広い意味を持っています。

大災害時は命の危機がせまりますが、それだけではありません。住居などの生活基盤も失われ、メガネ、義歯、補聴器、車椅子、杖、装具、人工肛門のパウチなど生活に必要な物も失われるかもしれません。健常者も要配慮者も着の身着のままで避難生活を送ることになります。

 避難所などで悲嘆にくれて、する事もなくじっとしていると生活が不活発になり、心も身体も機能が低下します。災害前は元気だった人が寝たきりになることもあり、災害関連死に至ることもあります。

災害リハビリテーションは、生活不活発および災害関連死を防ぐために、リハビリテーション医療・医学の視点から関連専門職が組織的に支援を展開し、被災者・要配慮者などの早期自立生活の再建・復興を目指す活動です。そのために、安全でより快適な環境を整えていきます。

具体的には、避難所などの慣れない環境で安全に動けるような動作指導、安全に動くために必要な福祉用具の検討などを行います。自宅で杖や装具を使って歩いていた人がそれらを無くしてしまったら、その人に合った長さの杖、装具を準備します。そこにいる人達が定期的に運動できるような仕組み作りもお手伝いします。食べ物についても、自宅で刻みやとろみのついた介護食を食べていた人には食事の準備、また、限られた食事のなかでの食べ方のアドバイスなども行います。自助具の工夫も行い、コミュニケーションの取り方もアドバイスします。

 繰り返しますが、災害リハビリテーションとは、災害時の生活不活発と災害関連死を防ぐためのリハビリテーション専門職の活動です。災害時には、他の災害支援団体と協力して活動します。

災害のフェーズに合わせたリハビリテーション支援(災害に関連した身体機能、生活能力の低下予防)

 

①応急修復期:リハビリテーショントリアージ

・避難所の住環境評価と整備
・動きやすい居住環境のアドバイスや応急的環境整備
・避難所支援物資の適切な選定と設置(段ボールベッドなど)

 

②復旧期:生活不活発病予防

・避難所や施設でのリハビリテーション支援活動

 

③復興期:健康支援

・地域に根付いたリハビリテーションへの移行支援

 

※参入職:リハビリテーション科医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、ケアマネジャー、義肢装具士、その他医療福祉関連職